牧口奏江

Kanae Makiguchi 博士課程1年

研究テーマ

倫理綱領を基軸とした科学技術ガバナンスを備えた新しい時代

研究内容

⼯学倫理(Engineering Ethics)とは1970年代にアメリカで⽣起した研究領域である。この過程で先導的役割を担ったのがバウム(Robert Baum)であって彼に拠れば⼯学倫理とは「学協会に所属する専⾨的職業⼈としての技術者の意思決定プロセスやその⾏為のあり⽅について取り扱う研究領域」であった。これを源流としてABETという技術者教育認定機関は「技術的な解決策の影響をグローバルな⽂脈と社会的⽂脈に位置づけて理解するのに必要な教育」という観点を持つようになった。翻って⽇本では1990 年代になってこの領域における研究と教育に取り組むに⾄った。JABEE は「技術が社会や⾃然に及ぼす影響や効果、及び技術者が社会に対して負っている責任に関する理解」として⼯学倫理を扱い、⼯学倫理教育を理⼯系の⾼等教育機関で実践するようになった。技術⼠法では「技術⼠⼜は技術⼠補は、その業務を⾏うに当たっては公共の安全、環境の保全その他の公益を害することのないように努めなければならない」と明⽰され、公衆の安全や健康、福利という視座を含んだ倫理綱領の制定や改定、これらに則った⼯学倫理教育が実務者に対しても継続的に要求されるようになった。しかし⽇本では技術者を専⾨的職業⼈としてみなされていないのが実情である。医師や弁護⼠は “ profession” としてその社会的地位が認められているが、その⼀⽅で技術者は“occupation” という地位に留められている。表層的な例えではあるがこのように技術者を専⾨的職業⼈として認知する学術的⽴場と実際にはそうではない社会背景が混在する⽇本の⼯学倫理を取り巻く環境は複雑なものなのである。これらを解消し、修⼠論⽂においてその価値を確認した倫理綱領が機能不全に陥ることなく⼯学倫理教育が市⺠社会にも広く拡充されるためには科学技術社会論という研究領域から再検討する必要があると考えた。科学技術社会論とは科学技術そのものが社会に及ぼす影響や科学技術と社会の接地⾯を研究の対象としている。科学技術社会論の扱う諸問題を地球規模課題として捉え、これからの未来社会においてこの視点を持つことこそが私たち⼈類がこれまで経験してきた原⼦⼒災害に代表される科学技術の負の側⾯を未然に防ぐことに繋がるのではないかと考えた。このように博⼠課程においては科学技術社会論の中での議論を想定している。

論文・学会発表等

工学倫理における倫理綱領の 7 原則と現実的諸問題(2015 年) “Seven fundamental principles of Code of Ethics on Engineering Ethics and practical problem” (2015).

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